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イワモト ヴァイオリン教室のブログへようこそ。
イワモト ヴァイオリン教室では
「正しい音程」 (正確な音程)
「本格的な音色」(美しい音)でヴァイオリンを弾くための
基礎的な演奏技術を大切に指導し
一音いちおん丁寧に
各人の進捗に合わせた課題をレッスンしています。
ヴァイオリンの名曲かつ難曲として有名なものに、以下の4つの作品があります。
エルンスト/6つの多声的練習曲 (以下、エルンスト)
パガニーニ/24のカプリース (以下、パガニーニ)
バッハ/無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ&パルティータ(以下、バッハ)
その難易度は、一般に高い方から
エルンスト>>>イザイ>>パガニーニ>>バッハ
しかし、ある観点に立つと、その順位が逆転するのです。
そんな風に感じているなら、この記事が問題解決の大きなヒントになるでしょう。
新たな観点から見るヴァイオリン名曲の難易度
ヴァイオリンに必須のものといえば、何をおいても「正しい音程」です。
ヴァイオリンには、歴史的に確立されたヴァイオリンの音程の取り方があり、
「正しい音程」は響きで確定できます。
ヴァイオリン本来の音程の取り方という観点からこの4つの作品を分析してみると、
バッハ>>>パガニーニ>>イザイ>>エルンスト
以下では、この観点から、それぞれの難曲を難易度の高い順に解説していきます。
バッハ ― 永遠に悩み続ける究極の難曲
バッハ/無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ&パルティータは、その精緻な対位法に
よって、演奏中に【開放弦】【旋律】【重音】という三つの異なる音程要素が同時に
絡み合います。
そこでは
【開放弦】は固定された音程を提供し
【旋律】は表現豊かな動きを生み出し
ヴァイオリンの音程は、開放弦との共鳴、旋律、重音のそれぞれで取り方が異なる
うえ、一つの音における正しい音程は複数あるため、その中からどれを選ぶのかと
いう選択も必要になります。三種それぞれの音についての音程の選択と、三種間の
音程要素のバランスを瞬時に判断しながら演奏しなければならないため、演奏には
非常に高度な音程操作が要求されます。
パガニーニ ― 華やかさと疾走感の中で迷わず進める名曲
パガニーニ/24のカプリースは、メロディーラインが際立つため、音程の選択が
一層明確かつ統一しやすくなっています。
たとえば、前節のようなバッハの複雑な対位法による高度な音程調整とは対照的に、
パガニーニでは、華やかな旋律と疾走感の中で、瞬時の音程判断が求められます。
もちろん、フィンガードオクターブのトリルや急速なポジション移動、大きな音程
跳躍など、高度な演奏技術は必要ですが、音程の選択において「どの音程を取るか」
という迷いはあまり生じません。
イザイ/無伴奏ヴァイオリン・ソナタは、完全8度、完全5度、完全4度といった、
最も確定的かつ普遍的な音程に基づく音形を中心に構成されています。そのような
音形では、音程の取り方は演奏者個々の解釈や趣向に左右されにくく、また、選択に
迷うような音形も少ないため、ヴァイオリンの安定した基盤形成のための訓練教材
として最適といえます。
ドイツの正統派ヴァイオリニストであるフランク・ペーター・ツィンマーマンは、
エルンスト ― 確定的音形がもたらす清明で厳格な響きを放つ曲
エルンスト/6つの多声的練習曲には、
世界一難しい曲として知られる『「夏の名残のばら」による変奏曲』や、
さらに演奏が至難とされている『「魔王」による大奇想曲』まで含まれています。
しかし、ヴァイオリンの音程の取り方においては、「この音程しかあり得ない」と
いう、確定された音程を中心に構成されています。各音形において音程の選択に
ほとんど悩む余地はなく、重音や旋律においても、音程が極めて確実に定まります。
このような理由から、サイトのERNST 6 Mehrstimmige Etudenのページにも
あるように、私は厳格かつ厳密な音程指導を行う者として、常に精緻な音程の取り方
を維持するため、この練習曲集を毎日の練習課題に取り入れています。
難曲を弾くための必須条件
音程の取り方の観点で最高難度に位置するバッハでは、精緻な対位法による
音程の三つ巴現象ともいうべき非常に高度な音程操作が求められ、そのためには
ヴァイオリン本来の音程の取り方がわかっていることが必須条件となります。
バッハの演奏に満足いかない、思うように弾けないと感じる理由は、ヴァイオリン
本来の音程の取り方や、それに基づく音程操作を学ぶ余地があるのかもしれません。
イザイからパガニーニ、そしてバッハへ
当教室では、一般の方に加えて、音大生 演奏者 指導者の方へのレッスンも行って
いますが、レベルによる指導法の例外はなく、共通してヴァイオリンの音程の取り方
からしっかりと基盤を固めていきます。そのための基礎教材として、当教室では
イザイ/無伴奏ヴァイオリン・ソナタをレッスンに取り入れています。イザイで
ヴァイオリン本来の音程の取り方を学ぶと、その応用としてパガニーニも弾ける
ようになり、その上でバッハに挑むことで、非常に高度な音程操作の場面も混乱
することなく、かつ正しい音程の美しい音色で演奏できるようになるのです。
難曲といわれる曲であっても、ヴァイオリン本来の音程の取り方という新たな観点
から取り組むことで、確固たる基礎により、難曲を難曲と感じることなく、結果的に
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カテゴリ: 究極のヴァイオリン奏法